2012年03月21日

東南海3連動地震とインターネットの接続について

阪神大震災、東日本大震災において、インターネットの強さが実証され、TwitterやFacebookなどのソーシャルメディアでの情報の入手、情報の発信の重要性が認識されたのは皆さんも周知のとおりである。しかしながら、今回の東日本大地震において、関東からの海底ケーブルは大きな損傷を受け、インターネット接続が維持できるかかなりの危機的状況に陥ったことは、一部報道でご存知の方も多いかもしれないが、みなさんが知っているわけではない。

最近、減災のため、多くの自治体で、防災、減災のための調査活動が行われているが、東南海3連動地震が起こった場合、海底ケーブルの位置から言って、完全にインターネット接続が遮断される可能性はないのでしょうか。専門的見地からの調査はまだ目立ったものは出ていないようですが、リスクとしては気になります。この問題についても防災、減災の観点から専門的な調査を行ってもらいたいと考えます。

個人個人の避難に向けた情報の取得のみならず、クラウドによる接続も困難になり、企業活動がストップするリスクと事業継続、情報から完全に遮断されたときにどう備えるかも考えておくべき問題なのかもしれません。

ご相談、顧問弁護士のご依頼、お問い合わせはこちら
naylaw16をフォローしましょう 
posted by NAY at 01:33| 情報リスクマネジメント

2012年03月03日

GREEvsDeNAの戦いの行方

先日、釣りゲームをめぐる訴訟で、判決があった。釣りゲームに似たゲームの配信で著作権を侵害されたとして、
グリーがディー・エヌ・エー(DeNA)に対し、配信差し止めと損害賠償を求めていた訴訟で、東京地裁は、DeNAによる著作権侵害を認め、これにより、配信差止と2億3460万円の損害賠償支払いを命じ、一方でDeNA側は即日控訴した。

・「釣りゲーム訴訟でグリーが勝訴 東京地裁、DeNAに配信差し止め・2億3000万円支払い命じる」(ITmediaニュース)

ゲームの場合は、単なるソフトウェアとしてはなく、ゲームの表示画面や内容などの著作物性も争われることがあり、判決文を分析してみたいと思う。

ただし、この2社の国内の争いはそろそろ、やりすぎな気もしている。海外では、すでに欧米で日本のゲームが相手にされなくなってきており、国内でもめていること自体がきわめてナンセンスな状態になってきている気がしています。寧ろこちらに危機感を持ってもらいたい気がします。特に、欧米のゲームインフラがゲームプロバイダ企業やコンテンツ企業を買収したり攻勢を強めてきている話もあると聞いている。日本勢として、第三の勢力に一気につぶされてしまうことの無いようにしてもらいたい。
せっかくここまで成長した企業同士なのだから、海外マーケットでしのぎを削ってもらいたい。

ご相談、顧問弁護士のご依頼、お問い合わせはこちら
naylaw16をフォローしましょう

posted by NAY at 23:46| 電子商取引/IT/コンテンツ

2012年02月25日

インターネットモールの商標権侵害の責任 詳細版

ネットショッピングモール「楽天市場」でキャンディー「チュッパチャプス」のロゴを使った商品を無断販売され、商標権を侵害されたとして、商標権を管理するイタリアの企業が、サイトを運営する「楽天」に100万円の損害賠償などを求めた訴訟の平成24年2月14日知財高裁判決について少し分析したいと思います。

まず、判決の全文はこちら

裁判所の判断の要点は、
本件における被告サイトのように,ウェブサイトにおいて複数の出店者が各々のウェブページ(出店ページ)を開設してその出店ページ上の店舗(仮想店舗)で商品を展示し,これを閲覧した購入者が所定の手続を経て出店者から商品を購入することができる場合において,上記ウェブページに展示された商品が第三者の商標権を侵害しているときは,商標権者は,直接に上記展示を行っている出店者に対し,商標権侵害を理由に,ウェブページからの削除等の差止請求と損害賠償請求をすることができることは明らかであるが,

そのほかに,ウェブページの運営者が,単に出店者によるウェブページの開設のための環境等を整備するにとどまらず,運営システムの提供・出店者からの出店申込みの許否・出店者へのサービスの一時停止や出店停止等の管理・支配を行い,出店者からの基本出店料やシステム利用料の受領等の利益を受けている者であって,その者が出店者による商標権侵害があることを知ったとき又は知ることができたと認めるに足りる相当の理由があるに至ったときは,その後の合理的期間内に侵害内容のウェブページからの削除がなされない限り,上記期間経過後から商標権者はウェブページの運営者に対し,商標権侵害を理由に,出店者に対するのと同様の差止請求と損害賠償請求をすることができると解するのが相当である。

と判断しています。
この点、商標権侵害があることを知った時または知ることができたと認めるに足りる相当な理由がある場合に責任を認める旨の判断が行われていることから、モール側の対応として削除対応の判断が難しいのが、
@ 商標でも類似・非類似の判断が難しい場合や、
A 不正競争防止法2条第1項第1号または第2号のみで削除要請がなされた場合、著名性や周知性が認められるかどうかの判断について難しい場合、たとえば、海外でも有名なブランドでほかの裁判例においても周知性が認められている削除要求者なら良いのですが、そうではない事例で、商標権の侵害や不正競争行為に該当するかの判断が難しい場合
などがあげられます。

少なくとも、モール側のリスク回避のためには、モール側の判断で、円滑な削除ができるように環境を整備しておくことが望ましいのではないでしょうか。たとえば、利用規約に、知的財産の侵害のおそれのある行為の禁止、出品の削除や出品店の利用停止についても知的財産侵害のおそれの文言の規定、モールが責任を負うことになった場合の補償責任などの規定はこれまで以上に重要になっていると思われます。

ご相談、顧問弁護士のご依頼、お問い合わせはこちら
naylaw16をフォローしましょう 
posted by NAY at 21:52| 知的財産

2012年02月16日

モールの商標権侵害責任

ネットショッピングモール「楽天市場」でキャンディー「チュッパチャプス」のロゴを使った商品を無断販売され、商標権を侵害されたとして、商標権を管理するイタリアの企業が、サイトを運営する「楽天」に100万円の損害賠償などを求めた訴訟の知財高裁の判断が14日にだされた。1審では楽天側は商標権侵害の主体には該当しないとして請求棄却となっていた。

知財高裁の中野哲弘裁判長は「侵害を知った後、合理的期間内に是正しない場合は運営者にも賠償責任が生じる」との踏み込んだ判断を示したようである。取引の場を提供したネットモール運営者が商標権侵害の責任を負うかが争われた訴訟で、運営者の責任に言及した判決はおそらく初めてなのではないでしょうか。

この点、この判例では「運営者であっても、第三者の商標権を侵害することを具体的に認識した場合、商標法違反の幇助(ほうじょ)犯となる可能性もある」としたようですが、一方、楽天側が、侵害を把握してから8日以内に該当商品をサイトから削除したことから、原告側の請求を退けた1審東京地裁判決を支持、控訴を棄却した。しかし、結論的を維持したのはよいにしてもあえてここまで踏み込んで判断する必要があったのかやや疑問です。

著作権等にも波及しかねない判断枠組みですので、早く判決全文が読みたいところです。

⇒なお、判決文がアップされましたのでリンクいたします。【平成24年2月25日更新】

ご相談、顧問弁護士のご依頼、お問い合わせはこちら
naylaw16をフォローしましょう
posted by NAY at 02:33| 知的財産

2012年02月05日

平成24年1月31日、まねきTV,ロクラクU 知的財産高等裁判所の差戻審の判決について


 まねきTV事件及びロクラクU事件の差戻審の判決が知財高裁において出された。事実の認定について再度、検証してみたいと思う。
まずは取り急ぎ結果についての周知です。

第1 まねきTV事件の差戻審の結論について
【結論】
 ソニーの「ロケーションフリー」のベースステーションを有償で預かり、ネット経由で視聴可能にするサービス「まねきTV」を提供していた永野商店に対する訴訟で、知財高裁の飯村敏明裁判長は最高裁判決をうけ、永野商店を送信の主体と認め、公衆送信権侵害などで、永野商店にサービスの停止と約165万円の損害賠償を命ずる判決を下した。

【判旨の要点】
 
  まねきTV事件については、
 最高裁の判断の概要として「公衆の用に供されている電気通信回線に接続することにより,当該装置に入力される情報を受信者からの求めに応じ自動的に送信する機能を有する装置は,これがあらかじめ設定された単一の機器宛てに送信する機能しか有しない場合であっても,当該装置を用いて行われる送信が自動公衆送信であるといえるときは,自動公衆送信装置に当たる。また,自動公衆送信の主体は,当該装置が受信者からの求めに応じ情報を自動的に送信することができる状態を作り出す行為を行う者と解するのが相当であり,当該装置が公衆の用に供されている電気通信回線に接続しており,これに継続的に情報が入力されている場合には,当該装置に情報を入力する者が送信の主体であると解するのが相当である。

 と引用し、

 被告は,データセンターと称する事務所を賃借し,同所に,高速インターネット回線を準備し,ベースステーションを載置するラック,ルーター,ハブ,ケーブル及び分配機,ブースター等(いずれも汎用品)を調達したこと,本件サービスの申込者からロケーションフリーのベースステーションが送付されると,これを同所内に設置し,ブースター及び分配機を介してアンテナ端子に接続し,ハブ及びルーターを介してインターネット回線に接続するほか,ベースステーションにポート番号を割り当てる等の設定作業も行い,ベースステーションに専用モニター又はパソコン等からの指令さえあれば自動的に放送データを送信し得る状態になったことを確認した後,申込者に対し,設置,設定の完了等を通知すること,本件サービスの利用者は,被告の「サポートデスク」を通じて問い合わせができることが認められる。そうすると,被告は,ベースステーションをアンテナ端子に接続し,アンテナ端子を経由してテレビアンテナから本件放送が受信できるようにし,「テレビアンテナで受信された本件放送がベースステーションに継続的に入力されるように設定した上,ベースステーションをその事務所に設置し,これを管理している」ということができる。と判断し、

【@被告の反論、被告自身がアンテナを管理していない点について】
 確かに,被告が自らテレビアンテナを管理している事実は認められないが,被告の事務所内のアンテナ端子を経由してテレビアンテナから放送波を継続的に受信できる状態にしていることに変わりはないから,テレビアンテナを被告自身が管理しているかどうかは,本件における結論を左右するものではない。

【A被告の反論、本件放送が継続的に入力されるよう設定、管理していない点について】
 上記認定の事実に加え,被告は,事務所内にベースステーションを設置した後,電源が入っているかを確認し,夏季に空調を28℃に設定する(乙19)等の行為をしているから,被告は,「設定」や「管理」を行っていると評価すべきである。

 として、被告の反論を排斥したうえで、「ベースステーションに本件放送の入力をしている者は被告であり,ベースステーションを用いて行われる送信の主体は被告であり,本件放送の送信可能化の主体は被告というべきである。」とした。

 
 被告の積極的な行為として、設置、接続、設定行為、管理行為などの事実を認定したうえで、「情報を自動的に送信できる状態」を作出したと判断している。

平成22年1月31日付まねきTV事件の差戻審の判決文

第2 ロクラクUの差戻審の結論について
【結論】
 「ロクラクU」と名付けたHDDレコーダーをレンタルし、各利用者の指示で国内設置の親機がテレビ番組を受信録画し、利用者の子機操作で、海外も含めネット経由で視聴できるサービスを提供する日本デジタル家電に対する訴訟で、飯村裁判長は最高裁判決をうけ、日本デジタル家電を複製の主体と認め、複製権侵害などで日本デジタル家電にサービスの停止と約計1570万円の賠償を命ずる判決を下した。

【判旨の要点について】
 まず,ロクラクUは,親機ロクラクと子機ロクラクとをインターネットを介して1対1で対応させることにより,親機ロクラクにおいて受信した放送番組等を別の場所に設置した子機ロクラクにおいて視聴することができる機器であり,親機ロクラクは,設置場所においてテレビアンテナを用いて受信した放送番組等をハードディスクに録画し,当該録画に係るデータをインターネットを介して,子機ロクラクに送信するものであって,ロクラクUは,親子機能を利用するに当たり,放送番組等を複製するものといえる。また,被告は,上記のような仕組みを有するロクラクUを利用者にレンタルし,月々,賃料(レンタル料)を得ている(なお,被告は,第1審判決前の時点において,一般利用者に対し,親機ロクラクと子機ロクラクの双方を販売していたとは認められないのみならず,同判決後の時点においても,親機ロクラクと子機ロクラクのセット価格が39万8000円と高額に設定されていることからすれば,親機ロクラクと子機ロクラクの双方を購入する利用者は,ほとんどいないものと推認される。)。そして,日本国内において,本件サービスを利用し,居住地等では視聴できない他の放送エリアの放送番組等を受信しようとする需要は多くないものと解されるから,本件サービスは,主に日本国外に居住する利用者が,日本国内の放送番組等を視聴するためのサービスであると解される。

 さらに,本件サービスは,利用者が,日本国内に親機ロクラクの設置場所(上記のとおり,電源供給環境のほか,テレビアンテナ及び高速インターネットへの接続環境を必要とする。)を確保すること等の煩わしさを解消させる目的で,サービス提供者が,利用者に対し,親機ロクラクの設置場所を提供することを当然の前提としたサービスであると理解できる。そして,被告は,本件モニタ事業当時には,ほとんどの親機ロクラクを被告本社事業所内に設置,保管し,これに電源を供給し,高速インターネット回線に接続するとともに,分配機等を介して,テレビアンテナに接続することにより,日本国外に居住する利用者が,日本国内の放送番組等の複製及び視聴をすることを可能にしていたことが認められる。また,被告は,本件サービスにおいて,当初は,親機ロクラクの設置場所として,被告自らハウジングセンターを設置するこ
とを計画していたこと,ところが,被告は,原告NHKらから,本件サービスが著作権侵害等に該当する旨の警告を受けたため,利用者に対し,自ら或いは取扱業者等をして,ハウジング業者等の紹介をし,ロクラクUのレンタル契約とは別に,利用者とハウジング業者等との間で親機ロクラクの設置場所に係る賃貸借契約を締結させるとの付随的な便宜供与をしたこと,親機ロクラクの設置場所に係る賃料については,被告自ら又は被告と密接な関係を有する日本コンピュータにおいて,クレジットカード決済に係る収納代行サービスの契約当事者になり,本件サービスに係る事業を継続したことが認められる。

 上記の複製への関与の内容,程度等の諸要素を総合するならば,@被告は,本件サービスを継続するに当たり,自ら,若しくは取扱業者等又はハウジング業者を補助者とし,又はこれらと共同し,本件サービスに係る親機ロクラクを設置,管理しており,また,A被告は,その管理支配下において,テレビアンテナで受信した放送番組等を複製機器である親機ロクラクに入力していて,本件サービスの利用者が,その録画の指示をすると,上記親機ロクラクにおいて,本件放送番組等の複製が自動的に行われる状態を継続的に作出しているということができる。したがって,本件対象サービスの提供者たる被告が,本件放送番組等の複製の主体であると解すべきである。

 
 このような判断が行われたが、最高裁の判旨の中で、設定事例の中で、管理・支配の基準により判断した理由づけのなかで用いられた「枢要な行為」について、必ずしも行為の重要性から判断したというよりも、関与の内容、程度の諸要素から総合的に判断しているといえる。

 
 平成24年1月31日付ロクラクUの差戻審の判決文

 
 まだ小職としても、十分に検討し切れたわけではないので、これらの判決の評価については、今後の議論を踏まえてより詳細に検証してみることとしたい。

ご相談、顧問弁護士のご依頼、お問い合わせはこちら
naylaw16をフォローしましょう 
posted by NAY at 21:42| 電子商取引/IT/コンテンツ

2012年01月22日

食べログ、ヤフー知恵袋に見るやらせ問題について

食べログのやらせ事件及びヤフー知恵袋のやらせ問題について、報道がなされた。皆さんはどれだけ、ウェブ上の情報を信用していらっしゃいますでしょうか。

確かに、ランク操作を行ったり、投稿者に金員を支給させて、自店の店の評価を高めようとした行為の問題だ。確かに、やらせ業者や店舗側の行為は道義に反する行為であり、避難されてしかるべきであろう。今回の事例では景表法による規制の対象とするのはやや難しい。消費者庁も、景表法での検討が難しいとしている。「おいしい」などの個人の主観に依存する表示で有利誤認と断定するのは難しかったのであろう。もっとも、同じ口コミでも、商品の体への効果効能をやらせで表示したり、そもそも、実際に販売したことがない高価な価格で、それを通常価格として、表示したり、原産地の異なる表示などの各種広告関連法規の規制の対象にはなる。

では、食べログやヤフー等の運営会社からはどうか。規約等でのルール違反のみならず、もしこのような行為によりサイト全体のアクセス数が減少し、サイトへの信頼が著しく低下し、広告収入減などがおこれば、行為を行った店舗及びやらせ協力会社に対し、損害賠償を請求することはありうる。今後、これらのウェブサイト運営者がどう出るか注目ではある。

また、利用する側としては、残念ながら、匿名の投稿者からアップされる情報がどれだけ信用できるのかは自分自身で判断しなければならない。参考にするのはよいにしても、これらの情報に依拠して、行動することについては自己責任も覚悟する必要はあるのではないだろうか。




posted by NAY at 04:24| 広告法規

企業法務における弁護士の業務への誤解

多くの経営者の方とお話ししていると、考え方が本当に様々です。弁護士に対する業務についても、まだまだ紛争が起こったら相談するというスタンスの会社が多い気がしています。

しかしながら、共同研究開発における権利帰属の問題と技術情報の管理のずさんさ、システム開発における著作権の権利の帰属の問題、IT企業における労働紛争における立証準備の足りなさ、社内体制の構築の不十分さなどから生じる問題は、あらかじめ普段からリスクを低減するための体制を整備しているか否かで、かなり、訴訟で勝訴できるか、有利な和解を進められるかの点では雲泥の差になってきます。ましてや、それが企業のコアコンピタンスとなる製品やサービスに係る紛争であれば、経営危機を招くことも否定できませんし、そのような場面の相談を数多く受けてきました。
一度経験すれば、それを理解するのですが、これでは遅すぎる場合も多い。長く続く景気後退の中、生き残れる企業とそうではない企業の差もこのあたりから徐々に出てきている。だからこそ、弁護士の業務について、もっと理解してもらいたい。

もっとも、経営者の方ばかりに理解を促すばかりではだめだ。弁護士の方も変わらなければならない。経営者の方としても単なるディフェンシブな弁護士などいらないのだと思う。売り上げにも貢献できる弁護士全人脈を生かした企業の支援を実現したい。また、紛争のリスクについても起こってからではなく、起こる前にそれを徹底的に防ぐとともに、そのリスクを見えるようにし、経営者の経営判断を迅速化する努力をしたい。これが今年のミッションだ。


posted by NAY at 04:04| 企業法務全般

2011年11月27日

オリンパス事件と政府の社外取締役の義務化方針

政府は、オリンパス事件や大王製紙の事件を受けて、大会社への社外取締役の義務付けを行うという。しかし、これだけで不正防止になるわけではない。なぜならばオリンパス事件では、大手証券OBの社外取締役の関与が疑われていること、そして、あのエンロン事件では、社外取締役がいても、事件を止めることはできなかったのは周知の事実であるからである。これを機会に政府は欧米に、社外取締役を制度化せよとでも言われたのであろうか。もう少し政府には、社外取締役の弱点、効能及び限界について慎重に議論してもらいたい。

個人的には、効果的な不正防止へ向けたガバナンスを検討するには、やはり法律による一律の制度設計では困難であると考える。外部の意見をとりいれる制度を構築しても、どのような人間が関与するかで制度自体の目的が骨抜きになることは、否定できない。一方で過半数を社外取締役にするような議論もあるが、これはこれでかえって経営のスピードを停滞させることにならないか、慎重な議論をすべきである。

現時点では、まだ、最近話題の事件での第三者委員会の意見も、刑事事件の捜査の進展もこれからである。原因を断定することはできない。これらの不祥事について真相が明らかになり次第、これを踏まえた上での議論をしてもらいたい。規制をするのは簡単だが、不正防止に対し、効果的な制度設計を検討すべきである。一方で、日本の活力を失わないために、経営のスピードを止めないようなバランスも図るべきだ。

今回の問題は、以下のような視点も含めて議論しなければならないし、問題は以下の視点に限られるものでもない。

@社外取締役を義務化するだけの議論ではなく、社外の役員人材をどのように確保するのか、育成するのか。
A仮に社外取締役を選任するにしても大手企業OBばかりが社外取締役・社外監査役になるような制度でよいのか。
B根底に、上司に従っていればよいとか事なかれ主義の風土に日本の教育が影響していないのかも考えるべきである。
Cさらに、良い人材を確保できてもエンロン事件の社外取締役の議会での証言では、情報が適切に与えられなかったとの指摘もあり、このような場合にどう対処するか。
Dまた月1回開かれる取締役会で、社外取締役にどれだけの情報入手能力があるか。おそらく正規の取締役会以外で、議論される不正への問題というものが存在するのも否定ではできない。

これらの問題を見ても、社外取締役だけを声高に叫んでも、それだけで不正防止への特効薬になるわけではないのである。政府与党は、どうも報道や外圧などに影響されて、制度の改正を議論しているように思えてならず、個別の問題について独自の解決能力があるとは到底思えない。円高、震災後の復興、TPP問題もあり、混迷を極めるこの時代において、理念も政策提案能力もない民主党にこれ以上政権を任せていたよいのか極めて疑問である。

ご相談、顧問弁護士のご依頼、お問い合わせはこちら
naylaw16をフォローしましょう 
posted by NAY at 21:56| コーポレートガバナンス

2011年11月16日

相続税増税の見送りにより顕在化しなかった相続トラブル増加と事業承継への障壁

政府税調は15日、未成立の11年度税制改正法案に盛り込まれていた相続税増税などについて、12年度税制改正に引き継ぎ実施することを見送る検討に入った。野党の反発が強いため。消費税増税論議を優先し、増税項目を絞り込む必要があると判断した。これには私も安心しました。

というのは、最近の相続紛争において、現預金が豊富にある事例は少なく、必ずと言ってよいほど流動性の少ない固定資産や株式などの処分を求められる事例が多く、遺産分割協議において円滑に財産の分配が進まずこの評価を巡って血みどろの紛争に発展する事例は少なくなかったからです。このような状況下で、相続税の基礎控除部分が引き下げられると、こういった紛争事例はより増えて、これまでトラブルにならなかった事例が、納税をきっかけとして紛争化する事例の激増を大変危惧していたのです。
さらに、この税制は、中堅企業や中小企業の事業承継においても大きな影響を懸念していました。特に、相続税の基礎控除の引き下げは、流動資産を保有していないオーナー企業にとっては、大きなトラブルとなり、オーナー親族の紛争に発展し、最悪の場合、倒産にに至る例もこれまでも存在していましたから、さらに増えるのではないか大変心配していました。特に地方などの雇用を支える中堅企業や中小企業の数がより少なくなり、地方の疲弊はより進むことになりかねなかったのではないでしょうか。

今の政権与党は、お金のあるところから取ればよいと言うが、政策の実行過程で、その負の部分に耳を傾けずに単に政治的な人気取りに走り対応を誤れば、ただでさえ再就職の厳しい地方において、多くの人を路頭に迷わせることになる。今回は、野党の反対でこのようなことは防止されたが、税制改正の場面では負の要素をきちんと検証してもらいたいと考えています。

ご相談、顧問弁護士のご依頼、お問い合わせはこちら
naylaw16をフォローしましょう 

posted by NAY at 11:02| 相続・事業承継

2011年11月09日

DRMと個人情報保護、営業秘密管理対策

デジタルコンテンツ、ソフトウェアのコピーコントロールで話題になることが多かったDRM技術であるが、なかなかセキュリティ対策としてのコストとして、運用上の柔軟対応ができない場合があり、サービスの足かせになってしまうこともあり、柔軟性を重視して、DRMのコントロールを緩めると、逆に後でコピーが出回ること本末転倒な事態となってしまう。

しかしながら、このDRM技術、最近では、企業の個人情報の保護や営業秘密を記録した電子データの管理の一手法としての使い方が出てきており、常日頃から製造業やIT企業などのこの分野についてアドバイスを行っている小職としては大変参考になるお話であった。やはり個人情報の漏えいについては、いま議論されている消費者の集団訴訟の制度に対するプロテクションの観点から、非常に有益なソリューションとなる可能性があるほか、営業秘密に関しても、特に漏洩事例が多い退職者の情報持ち逃げなどについて、個別に退職者を不正競争防止法で摘発するよりも記録された情報を使えなくする点で非常に有益である。

今後、法律だけではなく、こういった技術についても広くアンテナを張り、セキュリティの会社とも連携して高度なアドバイスを実現したいと考えています。

ご相談、顧問弁護士のご依頼、お問い合わせはこちら
naylaw16をフォローしましょう 
posted by NAY at 11:08| 知的財産