2011年07月18日

最高裁、更新料有効判決

最高裁平成23年7月15日は、更新料について、賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載された更新料条項は、更新料の額が賃料の額,賃貸借契約が更新される期間等に照らし高額に過ぎるなどの特段の事情がない限り,消費者契約法第10条及び借地借家法30条に違反しないと判示しています。

特段の事情について触れてはいますが、今回の契約の内容は,更新料の額を賃料の2か月分とし,本件賃貸借契約が更新される期間を1年間とするものであり、これを有効としていることから、ある程度一般的な更新料条項は無効にならない可能性が高いことになります。

最高裁は、消費者契約法の趣旨,目的について、同法の第1条にふれ、検討する条項の性質,契約が成立するに至った経緯,消費者と事業者との間に存する情報の質及び量並びに交渉力の格差その他諸般の事情を総合考量して判断するとしているところ、昨今、クレーマー的な賃借人が増えており、賃貸人の立場の方が弱者となっているような事例も多く散見されていることからも極めて妥当な判決であると言える。


以下は、判旨抜粋です
「消費者契約法10条は,消費者契約の条項を無効とする要件として,当該条項が,民法1条2項に規定する基本原則,すなわち信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものであることをも定めるところ,当該条項が信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものであるか否かは,消費者契約法の趣旨,目的(同法1条参照)に照らし,当該条項の性質,契約が成立するに至った経緯,消費者と事業者との間に存する情報の質及び量並びに交渉力の格差その他諸般の事情を総合考量して判断されるべきである。

更新料条項についてみると,更新料が,一般に,賃料の補充ないし前払,賃貸借契約を継続するための対価等の趣旨を含む複合的な性質を有することは,....更新料の支払にはおよそ経済的合理性がないなどということはできない。また,一定の地域において,期間満了の際,賃借人が賃貸人に対し更新料の支払をする例が少なからず存することは公知であることや,従前,裁判上の和解手続等においても,更新料条項は公序良俗に反するなどとして,これを当然に無効とする取扱いがされてこなかったことは裁判所に顕著であることからすると,更新料条項が賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載され,賃借人と賃貸人との間に更新料の支払に関する明確な合意が成立している場合に,賃借人と賃貸人との間に,更新料条項に関する情報の質及び量並びに交渉力について,看過し得ないほどの格差が存するとみることもできない。
そうすると,賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載された更新料条項は,更新料の額が賃料の額,賃貸借契約が更新される期間等に照らし高額に過ぎるなどの特段の事情がない限り,消費者契約法10条にいう「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」には当たらないと解するのが相当である。

これを本件についてみると,前記認定事実によれば,本件条項は本件契約書に一義的かつ明確に記載されているところ,その内容は,更新料の額を賃料の2か月分とし,本件賃貸借契約が更新される期間を1年間とするものであって,上記特段の事情が存するとはいえず,これを消費者契約法10条により無効とすることはできない。また,これまで説示したところによれば,本件条項を,借地借家法30条にいう同法第3章第1節の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものということもできない。」

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posted by NAY at 08:03| 不動産

2011年01月18日

業法に対するコンプライアンスの欠如と弁護士の役割

 投資用マンションの販売でしつこく電話の勧誘を繰り返していたとして、国土交通省関東地方整備局は17日、「グリフィン」シリーズを手掛ける陽光都市開発(横浜市西区)に22日間の業務停止を命じる監督処分を出した。同局によると、同社の複数の社員が電話で投資を勧誘した際、顧客が断っているのに電話を繰り返して長引かせたり、中傷するような発言をしたりしたとしていると報道されている。不動産業界の売り上げ減の厳しさはここ数年続いているが、やはり、地方を拠点とする企業であっても、業法まで行きとどいたアドバイスを受けている企業は少ない気がしている。このほかにも旅館業法などでも問題のある企業は多い気がしている。普通に商売ができているのだからいいではないか。法律を気にしなくても何かあった時に法律の対応をすればよいという意識では、事故が起こった時の信用回復が難しい。
 経営陣が配慮していても現場の意識とのかい離から行政処分やトラブルになることも多い。だからこそ、私は、クライアントとのお付き合いの中で、裁判になった時にしか相談できないような弁護士には絶対になりたくないと思っている。普段の相談外のコミュニケーションから、問題をかぎわける力も弁護士には必要であると思っている。1つでも多くの問題事項をクライアントから取り除き、信用ある企業として業績向上に貢献することも弁護士の業務であると信じている。

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posted by NAY at 11:16| 不動産

2009年11月02日

大阪高裁 更新料裁判今度は有効

 平成21年10月29日、大阪高裁で、今度は更新料の規定は有効との判断が下された(賃貸マンションの更新料問題を考える会のウェブサイトの判決文にリンクしています。)。更新料条項が地域によっては一般化しており、その存在を予め一般の方が認識して契約関係に入る環境がある状況下では、更新料条項自体を無効とする根拠を消費者契約法に求めるなら、消費者個人を保護すべき高度に合理的な根拠が必要に思います。

結論の分水嶺は、個別事例ごとに更新料の金額の多寡、その他礼金等の額や契約に入る時点での経緯に集約されていくのかもしれません。いずれにせよ、判断が下された場合の影響は無視できないので、最高裁がどのような判断をするか続報が待たれるとことです。
 
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posted by NAY at 13:54| Comment(0) | 不動産

2009年08月27日

更新料裁判、大阪高裁が更新料無効判断

7月に京都地裁で更新料の規定を無効とする判決がでましたが、今度は、平成21年8月27日付で大阪高裁で更新料特約を消費者契約法第10条に該当するものとして、無効との判断をしたとの報道がなされています。判決文を見れていないのでその理由の詳細は分かりませんが、高裁での判断が出されたことで、更新料規定に関する今後の不動産実務に大きく影響が出そうです。
 
 
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posted by NAY at 20:06| Comment(0) | 不動産

2009年07月24日

賃貸マンション 更新料は無効?(京都地裁)

 賃貸マンションの更新料11万6000円の返還を求めた訴訟で、京都地法裁判所は23日、借り主である男性の訴えを全面的に認め、全額を返すよう家主に命じました。辻本利雄裁判長は「両者の賃貸契約は借り主の利益を一方的に害するもので消費者契約法に反し無効だ」と判示したとのこと。これまで賃貸人側が勝訴を続けており更新料の返還を命じた判決は初めてです。
まだまだ、同様の事件が大阪高裁に係属中のようで、更新料をめぐる裁判の動向が見放せません。判決分本文をみていませんので、詳細は申し上げられませんが、はたして本件がすべての賃貸借契約の更新料一般に波及するものかは、他の関連訴訟の動向や今回の判決自体の情報などより情報を収集していく必要があると思います。

 

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posted by NAY at 15:36| Comment(0) | 不動産