私は、上場準備中の企業や上場の企業のアドバイスもしておりますが、中小企業への相談業務も行っています。日弁連の報告書等の結果から、中小企業が有望な市場であるような指摘があります。
しかし、顧客開拓として、中小企業を開拓するという風潮については私はあまり賛同していません。私は、中小企業の支援をしなければならない理由というのは、決して自分の顧客開拓の視点からやっているわけではないからです。
私が国選の刑事弁護をしたとき、行き場のない被告人をかばって情状証人として協力したり、就職先を斡旋してくれたのは中小企業の経営者でした。彼らの活動は事業活動のみならず、我々の地域社会にも密接に関連しています。また、部品の製作等の日本の技術力の根底を支えている中小企業も多く存在しています。
そのような企業が、大企業がおかれた経済のグローバル化によるビジネス実務の変動の波に巻き込まれたり、原材料の高騰や後継者問題で危機に瀕している事例が散見されるのです。弁護士としてこの分野で何か貢献できないかと思ったのが始まりでした。
しかしながら、中小企業の法律相談業務は、訴訟をするにも企業の経営体力を分析した上で取り組まなければならず、時に不採算覚悟で、支援を行わなければいけない場合もあります。また、契約実務においても、取引先との力関係に配慮しながら、取引はつぶさないようにしながらも企業の根幹となる経営資源を守ることに配慮する必要があります。
およそ手続だけをやればいいとか、理論的な問題で片付けばという姿勢では到底務まらない厳しい分野だと思いますし、でもだからこそやりがいがあるのだと信じています。
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