2014年06月10日

ファンド規制は反対

金融庁は、健全なベンチャーキャピタル(VC)ファンドを装った未上場株式ファンド詐欺事件など、プロ向けファンドの販売等(適格機関投資家等特例業務)における不適切な事例に対応するため、プロ向けファンド(VC ファンドも含む)について、適格機関投資家(銀行や保険会社など「有価証券に対する投資に係る専門的知識及び経験を有する者として内閣府令で定める者」(金商法 2 条 3 項 1 号))以外に投資可能な投資家を「一定の投資判断能力を有すると見込まれる者」に制限する見直し案を公表し、現在この案に対するパブリックコメントを募集しています。

現行の法令では、適格機関投資家等特例業務が相手方とすることができる「適格機関投資家以外の者」に関する制約は、「49 人以下」という人数要件のみです。しかし、今回の 改正案では、現行の人数要件に加えて、次のいずれかに該当する者に限定するという、いわば属性に関する要件を設けることとしている(改正案に基づく金融商品取引法施行令 17条の 12、金融商品取引業等府令 233 条の2)。

すなわち、今回の改正では、適格機関投資家等特例業務を行う者が、ファンドの販売等を行うことができる投資家の範囲を、現行の適格機関投資家及び適格機関投資家以外の者から適格機関投資家及び金融商品取引業者等(法人のみ)、ファンドの運用者、ファンドの運用者の役員・使用人・親会社、上場会社、資本金が5千万円を超える株式会社、外国法人、投資性金融資産を1億円以上保有かつ証券口座開設後1年経過した個人等に限定する改正を行おうとしています。

この改正案は、未上場株式ファンド詐欺事件などの不適切事例に対応するためとしていますが、そもそも、詐欺事件においては、ファンドが存在せず、あたかも存在するようなふりをして純粋にファンド規制が及ばない手口の詐欺事件として発生する事例もあり、このような事例に対しては、金融商品取引法の規制では対処できません。また、一方で、不適切事例において事後的に取り締まっても、その時にはすでにファンドの資産は散逸していることが多く被害回復は困難であると思われます。

そのような事例も存在する状況下において、この改正案を正当化する十分な立法事実があると断言してよいのでしょうか。現に同様の投資家被害を防止する観点から検討された日本証券業協会でエンジェル投資規制がパブリックコメントにおいて多数の反対により実行に移されなかった経緯を重く受け止めるべきであると思います。

今回の改正によってベンチャーキャピタルへのリスクマネーの供給がとまり、ベンチャーの成長へのよい流れに水を差さないような政策を検討していただきたいと思います。ベンチャーキャピタリストの有志の方からも意見が出ているようですので、パブコメの提出にあたっては、彼らの意見なども参考にしつつベンチャー経営者や支援者の方にもこの問題をぜひ自分の問題として考えていただきたいと思います。
posted by NAY at 22:18| ベンチャー支援