2012年02月05日

平成24年1月31日、まねきTV,ロクラクU 知的財産高等裁判所の差戻審の判決について


 まねきTV事件及びロクラクU事件の差戻審の判決が知財高裁において出された。事実の認定について再度、検証してみたいと思う。
まずは取り急ぎ結果についての周知です。

第1 まねきTV事件の差戻審の結論について
【結論】
 ソニーの「ロケーションフリー」のベースステーションを有償で預かり、ネット経由で視聴可能にするサービス「まねきTV」を提供していた永野商店に対する訴訟で、知財高裁の飯村敏明裁判長は最高裁判決をうけ、永野商店を送信の主体と認め、公衆送信権侵害などで、永野商店にサービスの停止と約165万円の損害賠償を命ずる判決を下した。

【判旨の要点】
 
  まねきTV事件については、
 最高裁の判断の概要として「公衆の用に供されている電気通信回線に接続することにより,当該装置に入力される情報を受信者からの求めに応じ自動的に送信する機能を有する装置は,これがあらかじめ設定された単一の機器宛てに送信する機能しか有しない場合であっても,当該装置を用いて行われる送信が自動公衆送信であるといえるときは,自動公衆送信装置に当たる。また,自動公衆送信の主体は,当該装置が受信者からの求めに応じ情報を自動的に送信することができる状態を作り出す行為を行う者と解するのが相当であり,当該装置が公衆の用に供されている電気通信回線に接続しており,これに継続的に情報が入力されている場合には,当該装置に情報を入力する者が送信の主体であると解するのが相当である。

 と引用し、

 被告は,データセンターと称する事務所を賃借し,同所に,高速インターネット回線を準備し,ベースステーションを載置するラック,ルーター,ハブ,ケーブル及び分配機,ブースター等(いずれも汎用品)を調達したこと,本件サービスの申込者からロケーションフリーのベースステーションが送付されると,これを同所内に設置し,ブースター及び分配機を介してアンテナ端子に接続し,ハブ及びルーターを介してインターネット回線に接続するほか,ベースステーションにポート番号を割り当てる等の設定作業も行い,ベースステーションに専用モニター又はパソコン等からの指令さえあれば自動的に放送データを送信し得る状態になったことを確認した後,申込者に対し,設置,設定の完了等を通知すること,本件サービスの利用者は,被告の「サポートデスク」を通じて問い合わせができることが認められる。そうすると,被告は,ベースステーションをアンテナ端子に接続し,アンテナ端子を経由してテレビアンテナから本件放送が受信できるようにし,「テレビアンテナで受信された本件放送がベースステーションに継続的に入力されるように設定した上,ベースステーションをその事務所に設置し,これを管理している」ということができる。と判断し、

【@被告の反論、被告自身がアンテナを管理していない点について】
 確かに,被告が自らテレビアンテナを管理している事実は認められないが,被告の事務所内のアンテナ端子を経由してテレビアンテナから放送波を継続的に受信できる状態にしていることに変わりはないから,テレビアンテナを被告自身が管理しているかどうかは,本件における結論を左右するものではない。

【A被告の反論、本件放送が継続的に入力されるよう設定、管理していない点について】
 上記認定の事実に加え,被告は,事務所内にベースステーションを設置した後,電源が入っているかを確認し,夏季に空調を28℃に設定する(乙19)等の行為をしているから,被告は,「設定」や「管理」を行っていると評価すべきである。

 として、被告の反論を排斥したうえで、「ベースステーションに本件放送の入力をしている者は被告であり,ベースステーションを用いて行われる送信の主体は被告であり,本件放送の送信可能化の主体は被告というべきである。」とした。

 
 被告の積極的な行為として、設置、接続、設定行為、管理行為などの事実を認定したうえで、「情報を自動的に送信できる状態」を作出したと判断している。

平成22年1月31日付まねきTV事件の差戻審の判決文

第2 ロクラクUの差戻審の結論について
【結論】
 「ロクラクU」と名付けたHDDレコーダーをレンタルし、各利用者の指示で国内設置の親機がテレビ番組を受信録画し、利用者の子機操作で、海外も含めネット経由で視聴できるサービスを提供する日本デジタル家電に対する訴訟で、飯村裁判長は最高裁判決をうけ、日本デジタル家電を複製の主体と認め、複製権侵害などで日本デジタル家電にサービスの停止と約計1570万円の賠償を命ずる判決を下した。

【判旨の要点について】
 まず,ロクラクUは,親機ロクラクと子機ロクラクとをインターネットを介して1対1で対応させることにより,親機ロクラクにおいて受信した放送番組等を別の場所に設置した子機ロクラクにおいて視聴することができる機器であり,親機ロクラクは,設置場所においてテレビアンテナを用いて受信した放送番組等をハードディスクに録画し,当該録画に係るデータをインターネットを介して,子機ロクラクに送信するものであって,ロクラクUは,親子機能を利用するに当たり,放送番組等を複製するものといえる。また,被告は,上記のような仕組みを有するロクラクUを利用者にレンタルし,月々,賃料(レンタル料)を得ている(なお,被告は,第1審判決前の時点において,一般利用者に対し,親機ロクラクと子機ロクラクの双方を販売していたとは認められないのみならず,同判決後の時点においても,親機ロクラクと子機ロクラクのセット価格が39万8000円と高額に設定されていることからすれば,親機ロクラクと子機ロクラクの双方を購入する利用者は,ほとんどいないものと推認される。)。そして,日本国内において,本件サービスを利用し,居住地等では視聴できない他の放送エリアの放送番組等を受信しようとする需要は多くないものと解されるから,本件サービスは,主に日本国外に居住する利用者が,日本国内の放送番組等を視聴するためのサービスであると解される。

 さらに,本件サービスは,利用者が,日本国内に親機ロクラクの設置場所(上記のとおり,電源供給環境のほか,テレビアンテナ及び高速インターネットへの接続環境を必要とする。)を確保すること等の煩わしさを解消させる目的で,サービス提供者が,利用者に対し,親機ロクラクの設置場所を提供することを当然の前提としたサービスであると理解できる。そして,被告は,本件モニタ事業当時には,ほとんどの親機ロクラクを被告本社事業所内に設置,保管し,これに電源を供給し,高速インターネット回線に接続するとともに,分配機等を介して,テレビアンテナに接続することにより,日本国外に居住する利用者が,日本国内の放送番組等の複製及び視聴をすることを可能にしていたことが認められる。また,被告は,本件サービスにおいて,当初は,親機ロクラクの設置場所として,被告自らハウジングセンターを設置するこ
とを計画していたこと,ところが,被告は,原告NHKらから,本件サービスが著作権侵害等に該当する旨の警告を受けたため,利用者に対し,自ら或いは取扱業者等をして,ハウジング業者等の紹介をし,ロクラクUのレンタル契約とは別に,利用者とハウジング業者等との間で親機ロクラクの設置場所に係る賃貸借契約を締結させるとの付随的な便宜供与をしたこと,親機ロクラクの設置場所に係る賃料については,被告自ら又は被告と密接な関係を有する日本コンピュータにおいて,クレジットカード決済に係る収納代行サービスの契約当事者になり,本件サービスに係る事業を継続したことが認められる。

 上記の複製への関与の内容,程度等の諸要素を総合するならば,@被告は,本件サービスを継続するに当たり,自ら,若しくは取扱業者等又はハウジング業者を補助者とし,又はこれらと共同し,本件サービスに係る親機ロクラクを設置,管理しており,また,A被告は,その管理支配下において,テレビアンテナで受信した放送番組等を複製機器である親機ロクラクに入力していて,本件サービスの利用者が,その録画の指示をすると,上記親機ロクラクにおいて,本件放送番組等の複製が自動的に行われる状態を継続的に作出しているということができる。したがって,本件対象サービスの提供者たる被告が,本件放送番組等の複製の主体であると解すべきである。

 
 このような判断が行われたが、最高裁の判旨の中で、設定事例の中で、管理・支配の基準により判断した理由づけのなかで用いられた「枢要な行為」について、必ずしも行為の重要性から判断したというよりも、関与の内容、程度の諸要素から総合的に判断しているといえる。

 
 平成24年1月31日付ロクラクUの差戻審の判決文

 
 まだ小職としても、十分に検討し切れたわけではないので、これらの判決の評価については、今後の議論を踏まえてより詳細に検証してみることとしたい。

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posted by NAY at 21:42| 電子商取引/IT/コンテンツ