西村あさひ法律事務所にて様々な分野の企業法務を経験し、弁護士法人漆間総合法律事務所設立。IT系及び情報リスクマネジメントの知見を有しつつ、グローバル展開を目指すベンチャー企業、上場企業・中堅企業の顧問弁護士及び社外役員としての経験を有する。近時はコーポレートガバナンス強化支援のため、公認不正検査士協会、日本監査役協会、日本内部統制研究学会、コーポレートガバナンスネットワーク等の会員として、取締役会評価と改善支援、社外役員等への教育支援について注力している。
2011年10月11日
ベンチャー企業の支援をしていると、大学との共同開発や大学からの技術移転を受けることも少なからず存在する。しかしながら、悩ましいのが、大学の教授の他大学への移籍だ。大学の中にはTLOとのみ外部の契約を認めているケースがあり、しかも大学教授と企業との直接契約を禁じている例も存在する。当然のことであるが、共同開発であろうが、技術移転であろうが、やはり、製品化に向けては大学教授と企業の長期的な連携と技術指導、情報共有は非常に重要な問題だ。
しかしながら、大学の教授が移籍するとTLOと企業が結んだ契約の効力が及ばなくなり、トラブルになる事例も少なからず存在する。
この問題は、大学と教授、企業の間の利益相反の問題を含んでおり、この点の対応は柔軟な対応が難しいことが多い。事前に大学教授と企業間で直接別途覚書を締結するなどの対応も考えられるが、大学側がこれを禁じている場合もある。
この点については、正直なところ、大学というステークホルダーの存在によりかえって技術の発展を阻害することもある。もう少し柔軟な運用も検討していただきたいところだ。
米国の大学を参考に、産学連携と大学の知的財産の権利の強化をうたい日本でも急速に体制の整備は進んだ。しかし、一方で習ったはずの米国の一部の大学は行き過ぎた知財対応のためにかえって企業側から敬遠されるようになり、産学連携が減少し、他国への共同へ企業がながれてしまった歴史を経験した。そこで、米国では逆に柔軟な対応へ舵を切った大学もある。
もちろん大学にも一部の利益が還元されるべきではあるが、技術の発展のためにステークホルダー同志が連携する制度作りを考えてもらいたい。これらを法務面から支援する我々もよちよち歩きの技術が生み出す利益を多くの人に利用してもらうためにどうすればよいかという視点を持って支援をしなければならない。大変難しい問題である。
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ベンチャー支援
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