2011年09月15日

話題の彼ログと法律上の諸問題

彼ログについて、個人情報やプライバシーの問題、そして、刑法第168条の二第2項(不正指令電磁的記録供用罪等)に該当するのかが問題となるとの議論も出てきている。少し気になっていることを書いてみたい。

1 サイバー刑法改正との関係について
 まず、不同意で、移動先を監視するためにインストールした場合は、同条の規定に基づく犯罪の成立についての議論の余地があろう。もっとも、子供や痴ほう症の老人の行方不明などの対策に使う場合も想定され、不同意であるから一律に犯罪が成立はどうか問題がある。この場合は、同法の正当の理由があるとして犯罪が成立しないとの考え方もあるかもしれない。いずれにしても、法文上は「正当の理由なくして」となっており、まだ新しい刑法の規定だけに現時点で解釈の方向性を断言することは難しい。

では、彼ログの開発会社は「同意をとってね。」といっているが、その場合は、上記議論を無視して大丈夫と断言できるだろうか。
 仮に、不同意で犯罪が成立する見解を前提とした場合、現状システム上は同意を確認して起動するシステムになっていないところ、口頭で同意をもらっても、いずれにせよトラブルになった場合に、同意した同意しないの問題をどのように証明するのかの問題は残されていることに注意をしてもらいたい。特に男女の関係はトラブルがつきもの、そもそも信頼できない人ならつきあうべきではない。そんなトラブルで刑事手続問題になること自体がナンセンスなので、このようなアプリはあまりお勧めできない。

2 同意してインストールした場合、同意して所在情報を発信し続けることの問題について
 それでは、この問題、個人のユーザーが使うことだけに議論がなされているが、特にその彼氏のAndroid端末にインストールするとして、その人は同意すればその他の問題はないであろうか。同意する側の属性についても考えてみたい。

 警察官であった場合はどうか、勤務中にどこにいるかは捜査情報となるだろうから、やはり警察官はこのようなアプリは使用するべきではない。また、自衛隊員である場合にも、その居場所自体が、一部防衛秘密(自衛隊法96条の2)になる可能性は否定できないのではないか。さらに、サラリーマンなら大丈夫かというとこれもそうでもなさそうだ。特に重要な案件の場合、取引の存在についても、契約上守秘義務が課されていることがある。この場合、担当者として頻繁に対象となる取引先企業に出入りしていることが付き合っている異性にダダ漏れでよいのか。そんなはずはない。万が一、その異性がライバル企業の人間だったら。。。。。このように場合によっては、不用意にこのアプリを使ってしまったことで懲戒解雇になるリスクが完全にないとは言えないと思われる。

 このように想定されるトラブルはまだまだありそうだ。業務用PCにウィニーをインストールすること禁止する内規のみならず、Android端末に彼ログをインストールしていないか組織的に確認しなければならないという事態に発展しないとよいのだが。今後の議論についても注視していきたいところである。

ご相談、顧問弁護士のご依頼、お問い合わせはこちら
naylaw16をフォローしましょう 
posted by NAY at 22:25| 電子商取引/IT/コンテンツ