2010年07月02日

日証協、新規公開前に行われる不適切な自己募集を規制するための「有価証券の引受け等に関する規則」等の一部改正についてのパブコメを受けて

日証協は、新規公開前に行われる不適切な自己募集を規制するための「有価証券の引受け等に関する規則」等の一部改正についてのパブコメに多くの意見が寄せられたことを受けて、今後の対応について公表しています。まだまだ延長戦のようです。
 
「今回の規則改正により、未公開会社の株式について、「近いうちに上場するから買わないか」というような個人投資家への勧誘があった場合に、それが詐欺行為であるかどうかを速やかに判断することを可能とすることを企図したものであります。」というくだりについて、確かに詐欺罪の成立がしやすいように配慮したのは分かるのですが、


「個人投資家とは、発行会社やベンチャービジネスと全く関係のない一般の個人の方であり、経営者の知人・友人の方や会社の内容を十分承知した上で投資をされるエンジェル投資家と呼ばれる方を含めることは当初から予定しておらず、」という点については、個別具体的な事例に適用する際、「一般の個人」と「経営者の知人・友人、会社の内容を十分承知した上で投資をされるエンジェル投資家」をどのように区別するか客観的な基準になっていません。
 
・「友人」だけではなく「知人」を明記しているは、どのような範囲の者をいうのか。一度会ったことが合う程度の面識があればいいのか。経営者には、「取締役・監査役」等のみならず、「顧問」的な方はどのように扱うのか
 
また、
 
・「会社の内容を十分承知」というのはどの程度承知していれば、エンジェル投資家となるのか。
 
しかも基準としてもやや問題があると思います。@「経営者の友人・知人」など面識があっても詐欺罪の成立を認めるべき事例もあるでしょうし、A面識がなく、一般の資産家にエンジェル投資家として協力を求める必要性があるとして許容すべき事例も考えられます。
 
この点、後者の事例の場合、例外に該当させるため、会社の内容をどこまで伝えれば、許容されるのか。今回の説明では、結論が必ずしもでません。7月20日に施行しようとしていた割にはずいぶんざっくりとした基準です。
 
未公開株詐欺に対する対策が必要であることは否定しません。しかし、はっきりしない不明確な基準を設けるようでは、かえって、その不明確性につけこむ手口が生まれます。「例外に該当するから投資しませんか。」という手口や例外に該当するように装うため会社の経営者の名義での出資の手口が生まれないかも心配されます。
 
未公開株詐欺については、上場するから投資しないかといった勧誘がなされた場合、上場の結論が出るまでにタイムラグがあり、騙す意図があったのかどうかの認定については、悩ましい問題はあります。

個人的には、日証協の規則改正という手法で対応すべき問題なのかが非常に疑問です。過剰規制にならずかつ未公開株詐欺を実効的に取り締まれる手法があればよいのですが、私ももう少し考えてみたいと思います。今後の議論を引き続き注目していかねばなりません。
 

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posted by NAY at 20:17| ベンチャー支援