2010年01月21日

日本版フェアユースの議論の困難性

報道によれば、日本新聞協会や日本雑誌協会など6団体は1月20日、著作権法上の権利制限規定、いわゆる「日本版フェアユース」導入に反対する意見書を、文化庁の審議会の委員あてに提出したようです。確かに米国と異なり、必ずしも裁判所の判決の集積も乏しく、フェアか否かの分水嶺を引くのは難しいところです。権利者側が予測しうるルール作りも必要なのかもしれません。 
 しかしながら、知財の権利を主張しすぎると、かえって、これまでにないビジネスモデルやアライアンスへの障害となり、新たな取り組みが遅れることも否定できません。バランスを保った調整は必要であるものの、一方で、海外での模倣品を一定限度放置して、本家がその後、上陸して、模倣品によってマーケット開拓がなされてしまいかえって新規市場での知名度を確保するための費用がかからなかった例があったり、著作権ではなく特許等の権利ではありますが、知財の権利主張にこだわるがゆえに、一部の国の大学との産学連携が嫌われ、むしろ一部の特許の権利の管理に柔軟な対応を見せる方向の考え方も世界各国では検討されています。
 
 オープンイノベーションを考えるとき、コンテンツを一定の協力義務の伴うルール下で開放し、それを利用する者に対し、無制限に差止の権利行使を行うのではなく、互いに新たに作られたインフラによって形成される新たな市場から生みだされる利益を享受できるような仕組みを作り出すような議論を望むところです。但し、忘れてはならないのは、もはや国内だけの議論でとどまるのではなく、海外との競争に打ち勝てる戦略的な制度設計をしなければならないということです。
 
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posted by NAY at 21:25| Comment(0) | 知的財産
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