2015年11月15日

Airbnb解禁とテロ・パンデミック対策との整合性

あまりイノベーションを阻害したくないので広くコメントすることは避けてきましたが、今回のフランスでのテロもありましたし、エボラ出血熱や韓国での中東由来のウィルスMERSの拡大も続きましたのでやはり黙っているべきではないと考えました。

規制改革推進の中で、Airbnbの解禁が話題になっている。私も一部省庁には意見を述べさせていただきましたが、シェアリングエコノミーでもともと業法規制の背景にある、公衆衛生のコントロール、治安の維持は決して緩和してはならないと考えています。

日本は安保法制を通し、政治的には集団的自衛権行使容認に舵を切った以上、テロの標的になる可能性は否定できません。また、経済のグローバル化で、いずれエボラ出血熱の様な危険な感染症の水際での排除がいずれ限界を迎える危険はないのでしょうか。日本のナショナルセキュリティを考える上でこのような外国人が国内に入国した場合の対策を併せて議論しなければなりません。国の政策を見ていると、他国に比べてインテリジェンス機能も低いにもかかわらず、このようなナショナルセキュリティの分野が内閣府の規制改革においてもあまり深く議論されていないことについてはリスク感覚がなく非常に危機感を覚えています。

もちろん、私としてもシェアリングエコノミーの活用を否定し入るのではなく、規制緩和により導入するのであれば日本の安全を阻害しない導入方法を考えるべきだと言う意見を持っています。

今回のフランスでの痛ましいISによるテロに対し考えなければないことがやはりあると改めて感じました。日本も標的にならないとは限りません。旅館・ホテル関係においては、宿泊名簿備義務の他に以下のようなテロ対策が行われています。しかしながら、Airbnbのホストにどこまでこのようなことができるのでしょうか。プラットフォーマーであるAirbnbについてもどこまでこの対策ができるのでしょうか。プラットフォーマーとしての責任論をあまり議論せずさらにホストを自由にしてしまってよいのかの点について、この観点から議論しなければなりません。

まずは、旅館・ホテルのテロ対策を見ていきましょう。
以下は国土交通省テロ対策のページより引用したホテル・旅館関係のテロ対策です。

【ホテル・旅館関係】 参考:旅館等における宿泊名者簿等への記載の徹底について
 ・宿泊者名簿への正確な記入
 ・日本国内に住所を有しない外国人宿泊客にあっては国籍、旅券番号も記入
 ・日本国内に住所を有しない外国人宿泊客にあっては旅券の呈示を求め、国籍・旅券番号を確認及び旅券の写しを保存
 ・捜査機関を含む関係行政機関への協力
 ・不審者等発見のための施設内外の巡回・点検
 ・テロ発生時における通報・連絡・指示体制の構築の徹底

【旅行業関係】
 ・旅行者への外務省危険情報の伝達
この辺りが主な対策となっています。
                                                                     
では、旅館業法の規制緩和でAirbnbが認められることで、宿泊名簿備置義務の運用がより徹底されなくなるリスクはあるものと思われます。この点、プラットフォーマーが提供するレーティングの仕組みや評判で問題のあるホストや利用者は排除できるという考えもありますが、テロ攻撃やパンデミック対策においては完全に無力でしょう。初めての旅行者が感染者であったり、テロにおいても現地調査班と実行部隊が異なることは多く事後抑止的な仕組み出は全く機能しないことは言うまでもありません。対象者の滞在中に感染症関連の対策法や警察・公安との連携が迅速にできる仕組みは維持するどころか強化すべきであると思います。

ではどのように規制すべきでしょうか。まずは過剰規制にならないように配慮する必要はあるためこのテロやパンデミック対策分野においての行政への協力を果たすことを認識させたうえでのホストの登録制は導入しておくことが望ましいものと考えます。また一定の違反をしたホストは利用を停止させる処分を行政がもつべきであることから登録後違反した場合の登録取り消しの制度も厳格に運用されるべきだと思います。現状はマンションの管理規約でAirbnbの利用を禁止していてもすり抜けて利用しているケースは既に存在しており、ルールを守らない利用者は存在しています。ルールはすでに守られていないのです。大したことではないではないかとおっしゃるかもしれませんが、その油断がテロやパンデミックを爆発させてしまった後でも同じようなことが言えるかは大いに疑問です。ホストを対象とした登録制をはじめとする最低限の規制は必要であると考えます。

ただ、許可制にくらべ登録制はより制限的ではない規制方法とはいえるものの、限界があります。最近はタワーマンションを中心に外国人の非居住者が投資回収のためにAirbnbを活用していることがあり、非居住者のホスト対策があまり議論されていないことも併せて確認しておきたいと思います。ホストが不動産の現地いないため、テロの場合は、テロ拠点に使いたいときこのような物件を使えばテンポラリーな潜伏を快適に行えてしまいますし、登録制では管理しえない事例もでてきます。

この点をもっと議論しておかないとオリッピックはこれで大丈夫なのでしょうか。この対策としては、やはり、ホストが自分で宿泊者の情報を管理できないなら登録の管理業者の選定を義務化するなど宿泊者の情報を把握する管理者を置くなどの工夫も併せて考えるべきではないかと思います。また、併せて不動産の近くに管理者がいないか住んでいない非居住者がホストの事例においては、併せてプラットフォーマーに一定のルール作りを義務化すべきか、また宿泊者の情報を緊急時に規制当局とどう情報連携するのかの問題が今回の規制緩和では吹っ飛んでしまっています。是非ここをもう少し詰めていただきたいと思います。

適切かつ円滑なシェアリングエコノミーの発展を願いますが、やはり日本の安全がないがしろにされてはいけません。子供たちの世代にも治安の良い平和な日本を守り切ることはビジネスサイドにいても忘れてはならないと思います。

posted by NAY at 10:00| 電子商取引/IT/コンテンツ