2011年11月27日

オリンパス事件と政府の社外取締役の義務化方針

政府は、オリンパス事件や大王製紙の事件を受けて、大会社への社外取締役の義務付けを行うという。しかし、これだけで不正防止になるわけではない。なぜならばオリンパス事件では、大手証券OBの社外取締役の関与が疑われていること、そして、あのエンロン事件では、社外取締役がいても、事件を止めることはできなかったのは周知の事実であるからである。これを機会に政府は欧米に、社外取締役を制度化せよとでも言われたのであろうか。もう少し政府には、社外取締役の弱点、効能及び限界について慎重に議論してもらいたい。

個人的には、効果的な不正防止へ向けたガバナンスを検討するには、やはり法律による一律の制度設計では困難であると考える。外部の意見をとりいれる制度を構築しても、どのような人間が関与するかで制度自体の目的が骨抜きになることは、否定できない。一方で過半数を社外取締役にするような議論もあるが、これはこれでかえって経営のスピードを停滞させることにならないか、慎重な議論をすべきである。

現時点では、まだ、最近話題の事件での第三者委員会の意見も、刑事事件の捜査の進展もこれからである。原因を断定することはできない。これらの不祥事について真相が明らかになり次第、これを踏まえた上での議論をしてもらいたい。規制をするのは簡単だが、不正防止に対し、効果的な制度設計を検討すべきである。一方で、日本の活力を失わないために、経営のスピードを止めないようなバランスも図るべきだ。

今回の問題は、以下のような視点も含めて議論しなければならないし、問題は以下の視点に限られるものでもない。

@社外取締役を義務化するだけの議論ではなく、社外の役員人材をどのように確保するのか、育成するのか。
A仮に社外取締役を選任するにしても大手企業OBばかりが社外取締役・社外監査役になるような制度でよいのか。
B根底に、上司に従っていればよいとか事なかれ主義の風土に日本の教育が影響していないのかも考えるべきである。
Cさらに、良い人材を確保できてもエンロン事件の社外取締役の議会での証言では、情報が適切に与えられなかったとの指摘もあり、このような場合にどう対処するか。
Dまた月1回開かれる取締役会で、社外取締役にどれだけの情報入手能力があるか。おそらく正規の取締役会以外で、議論される不正への問題というものが存在するのも否定ではできない。

これらの問題を見ても、社外取締役だけを声高に叫んでも、それだけで不正防止への特効薬になるわけではないのである。政府与党は、どうも報道や外圧などに影響されて、制度の改正を議論しているように思えてならず、個別の問題について独自の解決能力があるとは到底思えない。円高、震災後の復興、TPP問題もあり、混迷を極めるこの時代において、理念も政策提案能力もない民主党にこれ以上政権を任せていたよいのか極めて疑問である。

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posted by NAY at 21:56| コーポレートガバナンス

2011年11月16日

相続税増税の見送りにより顕在化しなかった相続トラブル増加と事業承継への障壁

政府税調は15日、未成立の11年度税制改正法案に盛り込まれていた相続税増税などについて、12年度税制改正に引き継ぎ実施することを見送る検討に入った。野党の反発が強いため。消費税増税論議を優先し、増税項目を絞り込む必要があると判断した。これには私も安心しました。

というのは、最近の相続紛争において、現預金が豊富にある事例は少なく、必ずと言ってよいほど流動性の少ない固定資産や株式などの処分を求められる事例が多く、遺産分割協議において円滑に財産の分配が進まずこの評価を巡って血みどろの紛争に発展する事例は少なくなかったからです。このような状況下で、相続税の基礎控除部分が引き下げられると、こういった紛争事例はより増えて、これまでトラブルにならなかった事例が、納税をきっかけとして紛争化する事例の激増を大変危惧していたのです。
さらに、この税制は、中堅企業や中小企業の事業承継においても大きな影響を懸念していました。特に、相続税の基礎控除の引き下げは、流動資産を保有していないオーナー企業にとっては、大きなトラブルとなり、オーナー親族の紛争に発展し、最悪の場合、倒産にに至る例もこれまでも存在していましたから、さらに増えるのではないか大変心配していました。特に地方などの雇用を支える中堅企業や中小企業の数がより少なくなり、地方の疲弊はより進むことになりかねなかったのではないでしょうか。

今の政権与党は、お金のあるところから取ればよいと言うが、政策の実行過程で、その負の部分に耳を傾けずに単に政治的な人気取りに走り対応を誤れば、ただでさえ再就職の厳しい地方において、多くの人を路頭に迷わせることになる。今回は、野党の反対でこのようなことは防止されたが、税制改正の場面では負の要素をきちんと検証してもらいたいと考えています。

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posted by NAY at 11:02| 相続・事業承継

2011年11月09日

DRMと個人情報保護、営業秘密管理対策

デジタルコンテンツ、ソフトウェアのコピーコントロールで話題になることが多かったDRM技術であるが、なかなかセキュリティ対策としてのコストとして、運用上の柔軟対応ができない場合があり、サービスの足かせになってしまうこともあり、柔軟性を重視して、DRMのコントロールを緩めると、逆に後でコピーが出回ること本末転倒な事態となってしまう。

しかしながら、このDRM技術、最近では、企業の個人情報の保護や営業秘密を記録した電子データの管理の一手法としての使い方が出てきており、常日頃から製造業やIT企業などのこの分野についてアドバイスを行っている小職としては大変参考になるお話であった。やはり個人情報の漏えいについては、いま議論されている消費者の集団訴訟の制度に対するプロテクションの観点から、非常に有益なソリューションとなる可能性があるほか、営業秘密に関しても、特に漏洩事例が多い退職者の情報持ち逃げなどについて、個別に退職者を不正競争防止法で摘発するよりも記録された情報を使えなくする点で非常に有益である。

今後、法律だけではなく、こういった技術についても広くアンテナを張り、セキュリティの会社とも連携して高度なアドバイスを実現したいと考えています。

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posted by NAY at 11:08| 知的財産