2011年09月25日

粉飾決算のインネクスト破産

札幌証券取引所アンビシャスに上場していた株式会社インネクストが9月9日に破産申立を行った。大規模な粉飾決算により、その動向が注目されていたが、エフオーアイの事件と同様の結論に至った。新興市場を巡る不祥事は後を絶たない。信用を取り戻すまでの道のりはまた遠のいてしまった。

平成23年6月17日の夜に同社が発表した開示資料によって粉飾が明らかにされた。同社発表の4年9ヶ月における売上高は総額51億2,203万円、当期純損失は累計9,687万円(平成20年6月期に2億超の損失を計上)であった。しかし、23億9,932万円の架空売上と3億460万円の売上前倒しを行い、10億6,394万円もの架空利益を計上がなされていた。つまり実態は、4年9ヶ月における売上高は27億2,271万円、当期純損失は11億6,081万円という状態にすぎなかったことになる。監査法人もここまで大きな粉飾を見抜けなかったのは、やはり監査のあり方も考えなければならない。

粉飾ではないにしても、業績が悪化している新興市場の企業を狙うおカネの流れがあるとの話も聞く。粉飾はいずれ終わりが来る。しかも刑事責任も問われる。新興市場への上場を目指す会社には厳しい見方をしてきていたが、より厳しい見方をしなければいけません。

ご相談、顧問弁護士のご依頼、お問い合わせは
こちら

naylaw16をフォローしましょう 
posted by NAY at 01:16| IPO(株式上場)支援

2011年09月15日

話題の彼ログと法律上の諸問題

彼ログについて、個人情報やプライバシーの問題、そして、刑法第168条の二第2項(不正指令電磁的記録供用罪等)に該当するのかが問題となるとの議論も出てきている。少し気になっていることを書いてみたい。

1 サイバー刑法改正との関係について
 まず、不同意で、移動先を監視するためにインストールした場合は、同条の規定に基づく犯罪の成立についての議論の余地があろう。もっとも、子供や痴ほう症の老人の行方不明などの対策に使う場合も想定され、不同意であるから一律に犯罪が成立はどうか問題がある。この場合は、同法の正当の理由があるとして犯罪が成立しないとの考え方もあるかもしれない。いずれにしても、法文上は「正当の理由なくして」となっており、まだ新しい刑法の規定だけに現時点で解釈の方向性を断言することは難しい。

では、彼ログの開発会社は「同意をとってね。」といっているが、その場合は、上記議論を無視して大丈夫と断言できるだろうか。
 仮に、不同意で犯罪が成立する見解を前提とした場合、現状システム上は同意を確認して起動するシステムになっていないところ、口頭で同意をもらっても、いずれにせよトラブルになった場合に、同意した同意しないの問題をどのように証明するのかの問題は残されていることに注意をしてもらいたい。特に男女の関係はトラブルがつきもの、そもそも信頼できない人ならつきあうべきではない。そんなトラブルで刑事手続問題になること自体がナンセンスなので、このようなアプリはあまりお勧めできない。

2 同意してインストールした場合、同意して所在情報を発信し続けることの問題について
 それでは、この問題、個人のユーザーが使うことだけに議論がなされているが、特にその彼氏のAndroid端末にインストールするとして、その人は同意すればその他の問題はないであろうか。同意する側の属性についても考えてみたい。

 警察官であった場合はどうか、勤務中にどこにいるかは捜査情報となるだろうから、やはり警察官はこのようなアプリは使用するべきではない。また、自衛隊員である場合にも、その居場所自体が、一部防衛秘密(自衛隊法96条の2)になる可能性は否定できないのではないか。さらに、サラリーマンなら大丈夫かというとこれもそうでもなさそうだ。特に重要な案件の場合、取引の存在についても、契約上守秘義務が課されていることがある。この場合、担当者として頻繁に対象となる取引先企業に出入りしていることが付き合っている異性にダダ漏れでよいのか。そんなはずはない。万が一、その異性がライバル企業の人間だったら。。。。。このように場合によっては、不用意にこのアプリを使ってしまったことで懲戒解雇になるリスクが完全にないとは言えないと思われる。

 このように想定されるトラブルはまだまだありそうだ。業務用PCにウィニーをインストールすること禁止する内規のみならず、Android端末に彼ログをインストールしていないか組織的に確認しなければならないという事態に発展しないとよいのだが。今後の議論についても注視していきたいところである。

ご相談、顧問弁護士のご依頼、お問い合わせはこちら
naylaw16をフォローしましょう 
posted by NAY at 22:25| 電子商取引/IT/コンテンツ

2011年09月14日

製造業必見、知財高裁、流通している製品から容易に取得できる情報は営業秘密ではないと判断

知財高裁平成23年7月13日判決は、流通している製品から容易に取得できる情報は、「公然と知られていないもの」(不正競争防止法第2条第6項)には該当しないとして、営業秘密には該当しないと判断した。特に、製造業においては、販売した製品からリバースエンジニアリングしされ、同様の製品を作り上げることはよく行われてしまっているのはご存じの通りです。
当職は、これまでも、秘密情報ではないとアドバイスすべきであると考えておりました。しかし、今回この判例の判断を受けて改めて製品から技術情報を読み取れる場合に、特許権利化ができていない場合は、リバースエンジニアリングされない製品の設計方法又は特許権利化の検討が必要であることを再認識させられます。


以下は判旨です。
「原判決( 東京地裁平成2 0 年( ワ) 第3 4 9 3 1 号同2 3 年2 月3 日判決) は, A社からY 1 に対して光通風雨戸の部材( 本件情報1 )及び部品( 本件情報2 )に係る図面等が交付されていた旨を認定した。そして, 原判決は, これらの図面が0 . 1 ミリ単位の精密さで作られていることなどからすると, 光通項風雨戸の製品からその形状を正確に把握し, 図面を起こすことは決して容易ではなく, これらの図面に記載された情報が, 光通風雨戸の製品が流通していたとしても, 公然と知られているものであるとはいえないから不正競争防止法2 条6 項の「営業秘密」に該当する旨を判示し,Y 1 及びY 2 による雨戸の製造・販売が,同条2 項7 号の当該営業秘密を不正の利益を得る目的で使用することに該当すると判断して, Y 1 及びY 2 に対して雨戸の製造・販売の差止めのほか, 3 1 9 5 万6 5 8 1 円の損害賠償等の支払を命じた。」

しかし、

「知財高裁の判決では,Y 1 に対して交付されていたのは本件情報2 に係る図面等だけであると認定した。そして, 判決は, 市場で流通している製品から容易に取得できる情報は,不正競争防止法2 条6 項所定の「公然と知られていないもの」ということができないところ, 本件情報2 に係る部品が, いずれも光通風雨戸を組み立てるに当たって使用される補助的な部品で, 一般的な技術的手段を用いれば当該雨戸の製品自体から再製することが容易なものであるから, 本件情報2 は, 「公然と知られていないもの」ということはできない旨を判示した。」

詳細は知財高裁のウェブサイトへ


ご相談、顧問弁護士のご依頼、お問い合わせはこちら
naylaw16をフォローしましょう 
posted by NAY at 12:17| 知的財産

2011年09月08日

契約書の雛型を弁護士からもらう場合の注意点

格安のフィーをうたい文句に契約書のひな型を配布する弁護士も最近はいらっしゃるようですが、特に中堅企業、中小企業においては、弁護士が契約書のひな型を提示するときに、どれだけリスクを説明するだろうか。その契約書に想定されるリスクをどれだけ説明してくれるかは依頼者はその弁護士に質問をすべきである。

例えば、動産売買を目的とした、取引基本契約書でも、買主側か売主側かで契約書のドラフティングが全く異なってくることは言うまでもない。また、当事者となる会社の資本額や業種などで適用される法令にも差が出てくるし、取引の状況・性質や国内か海外かでも配慮すべき点は全く異なってくる。仮に、コストが掛けられずひな型を用いる場合でも、そのリスクを経営者が認識して使うのとそうではないのとでは雲泥の違いである。

また、秘密保持契約においても、双方向で情報を開示する場合であっても、情報を開示する量及び質はどうか。営業情報のみの場合か?技術情報まで含まれるか?また、当事者の秘密情報の管理能力はどうか。さらに技術的にその情報管理できるかなどで、ドラフトする条項も異なってくる。

だからこそ、依頼者である企業の皆さんは、自分がどのような会社なのか、どのような相手とどのような取引をするのか。それを伝え、その上で、弁護士に契約書の条項がどのように影響するかの説明を受けるようにしてもらいたい。

我々弁護士の業務は安いフィーの案件でも高いフィーの案件でも基本的には、クライアントに問題が起こらないように最善を尽くすのが当然である。それに対して問題にならないからと片付けてしまうのは私にはできない。契約書でアドバイスする際の実務は、いかに依頼者の状況、依頼者が希望する取引の概要を正確に把握し、それに応じた契約条項を提供するかが極めて重要であり当たり前であるといえる。
だからこそ、私は、既存のひな型で片付けるようなことは絶対にしない。

ご相談、顧問弁護士のご依頼、お問い合わせはこちら
naylaw16をフォローしましょう 
posted by NAY at 17:10| 企業法務全般